ヨルダンと日本における土造建築の芸術 ― 現在と未来

 

 

2025年大阪・関西万博におけるヨルダンの参加を統括する事務局は、ドイツ・ヨルダン大学、フセイン工科大学のヨルダン日本建築研究所(J2AR)、およびERTH(地球建築と文化遺産研究機関)と協力し、「ヨルダンと日本における土造建築の芸術 ― 現在と未来」と題した講演会を開催しました。講演後には、ドイツ・ヨルダン大学(ジャバル・アンマン校)にて5時間にわたる土造建築のワークショップも実施されました。本イベントには、多くの建築や文化遺産に関心を持つ参加者のほか、ヨルダン国内のさまざまな大学の建築学科の学生が集まりました。

 

 

講演会の冒頭、ドイツ・ヨルダン大学の建築・環境学部長であるオマイマ・アル=アルジャ博士が出席者を歓迎し、現代社会における地域文化遺産の保全の重要性を強調しました。続いて、シファ・アル=ズグール副特命全権代表が、大阪・関西万博におけるヨルダンの参加概要を紹介し、若者がこの国際イベントに参加する機会について説明しました。

 

 

その後、ERTH社の創設者兼ゼネラルマネージャーであるマリアム・アル=アザ技師が、自社が手掛けるさまざまな土造建築技術を用いたプロジェクトのビジュアルプレゼンテーションを行い、特に伝統的な土造建築の修復作業について詳しく解説しました。続いて、日本人アーティストの小角直樹(こずみ なおき)氏が、世界各地で手掛けた代表作の画像を紹介しました。小角直樹氏は、日本国内のみならず世界的にも著名なアーティストの一人とされております。土造建築というシンプルな技術を洗練された芸術に昇華させ、世界各国の高級ブランドショップや名門施設、ホテルなどの建築に活用しました。彼のこの技術を先祖から受け継いだものであり、それを発展させながら、若い世代に対し文化遺産の保存と継承の大切さを伝え続けています。

 

 

講演の最後には、TARMEEM社が本イベントのスポンサーとして、ワークショップ参加者全員を無料でカスル・アル=ムシャッタへ招待すること、さらに同社の修復職業訓練プログラムへの優先入学枠を提供することを発表しました。

 

 

講演会後、参加者はワークショップ会場へ移動し、日本人アーティストの指導のもと、大学生や招待者と共に土壁を制作しました。学生たちは、マリアム・アル=アザ技師の直接指導のもと、さまざまな土造建築技術を学び、実際に作業を行いました。ワークショップの成果として、ドイツ・ヨルダン大学のオスマン・ブデイル館に「土の芸術壁」が完成しました。なお、本講演会およびワークショップ開催にあたり、ロジスティックおよび運営でご助力いただいた、ドイツ・ヨルダン大学に深く感謝申し上げます。